室生寺十一面観音菩薩像 縮尺模刻制作(株式会社静岡銀行賛助研究)

山田亜紀(教育研究助手)

​飯沼春子(非常勤講師)

王夢石(技術職員)

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​はじめに

 研究室では、平成23年より株式会社静岡銀行から研究賛助をいただき、一年に一軀、仏像の模刻研究を行ってきました。模刻対象の仏様は、株式会社静岡銀行で毎年発行されている「仏像カレンダー」の中から選ぶことになっています。今回は、奈良県室生寺十一面観音菩薩立像の模刻研究を行いました。

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​室生寺金堂

 室生寺は奈良県北東部の山中、宇陀郡室生村にあるお寺です。宝亀年中(770~780)に山部親王(後の桓武天皇)の病気平癒を室生山中で僧5人が祈祷したところ、病気が回復したことから、その後、国家のために建立されたとされています。

 平安時代前期に造像された木造十一面観音菩薩立像は室生寺金堂に安置されており、像高196.2cmと大きな一木造の像です。その優しいお顔立ちや立ち姿、繊細な衣文表現はとても印象的で、多くの人々を魅了してきました。

 今回の模刻制作では、約33%(約65cm)に縮尺して模刻制作を行いました。

 はじめに、熟覧調査と3D計測を行いました。今回、東京国立博物館での展示が開催されていたため、東京国立博物館での調査を行うことができました。この調査は、実際に目視で彩色の様子や造形を観察することができる貴重な機会です。

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​室生寺五重塔

十一面観音菩薩像

調査の様子

■実際の制作工程

 調査で得た3Dデータから図面を作成し、写真資料も参考にしながら、粗彫り・中彫り・小造り・仕上げ、と彫り進めていきました。

図面の転写

粗彫り

​仕上げ

彫刻作業が終わったら、古色作業に入ります。長い年月を経た御像の存在感を出すべく、様々な染料や顔料を使って試行錯誤を重ねます。

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​だんだん進む古色作業

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完成

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 原本像とおなじ構造・技法で模刻制作を行うことは、造像当時の仏師がどのようなことを考えたのか追体験する機会となります。縮尺模刻ですので、完璧な追体験とはいきませんが、今から1000年以上前に生きていた仏師の表現力の高さやセンスの良さに尊敬の気持ちを抱きます。本尊の雰囲気が少しでも皆様に模刻作品を通してお伝えできましたら幸いです。